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2017.10.21

丞相病篤かりき

わが家の老犬ロビーは16才、もう2年2カ月も悪性腫瘍で抗がん剤治療を続けており、その薬害で眼は見えず、耳は聞こえず、足は衰え、やっとこの夏を越した。
犬種はワイヤーフォックステリア、体重10kgの精悍な犬であったが、もういけない。
 
 
この2週間、ほとんど寝ている、立てないので食事は妻が手で丸めて口に入れてやる、排泄は紙おむつで受ける。
医者はもうこの状態で生かしておく意味は無いという。しかし排泄の後おむつ交換を要求して我らを呼んで吠えるのを聞くと、まだ生きたい意志を感じざるをえない。
ロビーの病篤し、命旦夕に迫る。
 
~~~丞相病篤かりき~~~
O兄の西安・敦煌旅行記、漢詩、<病篤し>ときて、<丞相病篤かりき>のリフレインが口に付いて離れなくなった。
 
星落秋風五丈原   土井晩翠
祁山悲秋の風更けて
陣雲暗し五丈原、
零露の文は繁くして
草枯れ馬は肥ゆれども
蜀軍の旗光無く
鼓角の音も今しづか。
丞相病あつかりき。
 


清渭の流れ水やせて
むせぶ非情の秋の聲、
夜は関山の風泣いて
暗に迷ふかかりがねは
令風霜の威もすごく
守る諸営の垣の外。
丞相病あつかりき。
 


帳中眠かすかにて
短檠光薄ければ
ここにも見ゆる秋の色、
銀甲堅くよろへども
見よや侍衛の面かげに
無限の愁溢るるを。
丞相病あつかりき。
 

・・・・・・・・
 

何時の頃覚えたものか、あとは忘れた。全篇300行を超える長詩である。
 
 
~~~~~~
老夫婦でやっと老犬1頭を支えている 黒潮丸
 

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