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2012.06.29

映画「わが母の記」を観た

映画「わが母の記」を観た。

井上靖の原作で、彼が少年時代を伊豆湯ヶ島で送ったことから現地ロケなど静岡県での撮影が多く、地元TVで取り上げることも多かったので観る気になった。

役所広司、樹木希林、宮崎あおい等の出演である。


話の筋など無い。

私が驚いたのは作家の生活振りである。

年頃の娘が3人居るから本人は50代だろうか。昭和30年代である。

使用人の他に秘書の女性、作家志望の青年が常時侍っている。

原稿取りの編集者が3組も別々の部屋で待機している。


家族の誕生日には川奈ホテルに集まって祝う。特別にバンドを呼んで演奏させる。

軽井沢に大きな別荘がある。


家族にとっては著書に検印を貼るのが大仕事で不平の種である。座敷に山のように本が積んである。

「50万部売るには50万冊に貼るのですからね・・・」の台詞が出てくる。

まだ1冊1冊検印の証紙を貼っていた時代の話である。


私は彼が毎日新聞の記者から「闘牛」で芥川賞をとって作家になったことしか知らなかった。

写真で見る風貌から謹厳実直で、生活も質素な人だろうとなんとなく思っていた。

しかし映画で観たのはもっとずっと賑やかで派手な生活だった。

我々が結婚生活を始めた時代である。

流行作家とは大したものだ。


井上靖に「射程」という小説がある。いま調べたら昭和31年の作である。

読んで面白かったので黒沢に「面白いよ」と言ったら、早速彼も読んで「面白かった」と言った。

それから2,3度、「あれは面白かったな」と言われた。

もうどんな粗筋だったかも忘れた。黒沢とのやりとりだけを覚えている。


この直後井上は「氷壁」を出して大ヒットする。

私も黒沢も、当時はそんなベストセラーは読まなかった。

そんな読書友達だった。


読書友達と言えばつい先日大和田政也君が逝った。

淋しいね。


 


 

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