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2012.06.18

原発賛否-化石燃料の危険性

今年1月3日、朝日新聞は「文明崩壊への警告」と題してジャレド・ダイアモンド氏(地理・歴史学者、「銃・病原菌・鉄」の著者)のインタビューを載せている。


---略---

-日本は昨年東日本大震災を経験しました。天災が文明の崩壊につながる可能性はないのですか。

「一度にたくさんの人が死亡する可能性のある事故、人間の力ではコントロールできないと感じる事故について、人々は過大評価しがちです。日本をおそった地震と津波は確かに大惨事でしたが、長期的にはずっと多くの人々が、交通事故、たばこ、お酒、塩分の取りすぎが原因で死亡しています。」

-福島の原発事故についてはどう考えますか。

「けっして福島の悲劇を軽んじるつもりはありませんが、原発事故もまた『リスクが過大評価されがちな事故』の典型例です。私たち米国人もスリーマイル島原発の事故の後、1人の死者も出なかったのに新しい原発の建設をやめてしまいました。それはあやまちだったと思います。原子力のかかえる問題は、石油や石炭を使い続けることで起きる問題に比べれば小さい、と考えるからです。」

-放射能で環境が汚染されるリスクがあっても、原発を使い続ける方がよい、ということですか。

「たとえ原子力の利用をやめたとしても、しばらくは化石燃料に頼らざるをえません。過去70年間、放射能で健康を損ねた人よりもはるかに多くの人々が、化石燃料を燃やすことによる大気汚染に苦しんできました。」

-放射能は人間の遺伝子を傷つけ、子供たちへの影響が心配です。放射能廃棄物は10万年以上もの間、危険な放射能を出し続けます。

「確かにその通りですが、放射能の危険性と同時に、化石燃料の危険性も考えるべきです。二酸化炭素による地球温暖化はすでに、大きな被害をもたらすサイクロンなどの熱帯低気圧を増やしています。放射性廃棄物は地下深くに封じ込められますが、放出された二酸化炭素は200年間は大気中にとどまるのです。」

「いま一度、『現実的になろう』と言わせて下さい。原発事故や地震で、文明が続く可能性がそこなわれることはありませんが、二酸化炭素は現代文明の行く末を左右しかねない問題なのです。」

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大きく文明の興亡を俯瞰してきた人の言である。
私は坂本龍一や大江健三郎より遥かに尊敬し、その言を信じる。


 


 

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