地熱発電
「マグマ」(真山仁 角川文庫 朝日文庫 2006) を読みました。
「ハゲタカ」を書いた真山仁が、地熱発電を中心テーマに置いて書いた本です。
3.11を経験した今この書を読むと、身震いするほどの感慨があります。
吉村昭の「三陸海岸大津波」を思わせますが、福島原発事故を思えばこの方が直接身に染みる。
よくも6年前にこれを書いたものだ!
まして出光は小説の舞台と同じ大分で地熱発電を実際に事業化したのです。
遊び人だった私は出光の地熱事業についてまったく知るところがないのですが、そこで苦労した同輩がいたのです。
他人事ではない思いがあります。
冒頭、このフレーズで小説は始まります。「5年以内に日本の原発を全部閉鎖してほしい。」
欧米各国のエゴ、中国やインドの原発→原爆保有への怖れ、そして日本の電力会社への不信感から、ジュネーブでの国際エネルギー会議はこのような要請をします。
原子力利権を守ろうとする電力会社と政治家、温泉の枯渇をゆえなく怖れて一切の手出しを拒否する温泉業者、環境省。
地熱発電は日本の発電量の30%を賄う可能性があるというのに!
6年前によくもこれほどの問題意識をもって小説を書いたものです。
安藤君。貴兄なんかあのまま出光に居たら地熱要員だったのではないだろうか。
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