蝋石(ろうせき)のこと
皆さんは<蝋石(ろうせき)>をご存知だろうか。
チョーク=白墨のようにコンクリートやアスファルトの上に文字を書くものである。チョークより硬い。
大きさはチョークを平べったくしたというか、書道の墨をちょっと厚く細くしたくらいである。
明治の頃、まだ鉛筆が普及していない時代に児童は石板に蝋石で書き取りをしたという。
私も子供の頃、道路に線を引いたりする遊びに使っていた。
しかし今は何かを書くより、滑り剤として重宝している。
蝋石をナイフで削って粉にして敷居などに撒くと実によく滑るようになる。
食器戸棚など滑りが悪くなった時に「蝋石、蝋石」と騒ぐ。
この蝋石が、買おうと思うと苦労する。ほとんどどこにも売っていないのである。
私もしばらく不自由していたが、10年ほど前に伊豆松崎にある国指定重要文化財「岩科学校」で見付けた。
明治13年に建てられたなまこ壁の建物である。
その後も行くたびに確認するが、必ず売っている。
明治の児童の筆記用具として特に置いているのであろう。
他で見ることはない。
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さて、私は妻が留守の時など、時に琥珀磨きの代稽古を勤めることがある。門前の小僧習わぬ経を読むのである。
つい先日、2人連れで来たうちの1人が松崎の人であった。そろそろ大沢温泉の桜祭りの俳句の短冊を見に行こうと思っていたので、開花状況を聞いたりした。
そのうちに琥珀磨きから蝋石削りの話題になり、岩科学校だけに売っていると言ったら、なんと彼女は岩科学校に勤めているのであった!
「売ってます、売ってます。73円です。」
もう1人の女性は蝋石は聞いたこともなかった。
それでもチョーク代用とか滑り剤の効用を聞いて、さらに73円と聞いて、その友人に「20本買うから送って。」と頼んだ。
私は思わず「買占めはやめて下さい。」と怒鳴ってしまった。
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かなり前の書き込みのようですので・・もうご存知かと思いますが、。
蝋石は、実はまだたくさん使っています。鉄鋼、鋼材への切断指示などの記入
には、石筆とし現場で現役です。最近は中国産も入ってきていますが、やはり
ポケットのなかで折れにくいなどなど、たしか岡山で産出しています。
石として の形ではこれしか知りませんが、微粉に粉砕したものは、製紙でも
利用されていたと思います。
いわゆる滑石を砕いたものは タルク ですので、これはご存知ベビーパウダー
蝋石は、葉ろう石から作られますので滑石とはちがうものですが、いずれの粉末
も 確かに よく滑ります。 油 では埃をよびよせますが、この粉は長持ちする
ので、我が家でも愛用しています。 意外なところでは、竹で作られている
昔ながらの計算尺のすべりが悪くなると、滑石の粉をはたきます。
竹は油を吸って寸法が変わるから という説明を先輩に聞きましたが、滑石
はモース硬度の基準にもなっていて、一番やわらかい 硬度1 の基準がこれ
ダイアモンドは最高の10になっています。 つめよりやわらかい鉱物ですから
計算尺のすべり向上に使用しても、本体を磨耗させる心配がない というのは
うなづけます。
いずれも、最近は使う人もなく、アンティークになってますけど・・
Posted by: 又三郎 | 2010.10.27 02:35