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2009.07.18

大雪山事故-勇者たちの尊厳のために

北海道大雪山で多くの生命が失われた。哀切のきわみである。
謹んでお悔やみを申し上げたい。

このあと警察による原因調査と、幾つもの裁判騒動が始まるのであろう。
既にして報道カメラの映像の中には欲の亡者の影がちらつく。

1992年2月、ジャパン-グアムレースにおいてヨット2隻が遭難し14名が死んだ。
そのうちの3家族がレースを主催した日本外洋帆走協会ほかを相手取って損害賠償の提訴をした。

当時の日本外洋帆走協会機関紙”Off Shore”に石原慎太郎会長が寄せた一文を再録する。


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勇者たちの尊厳のために---石原慎太郎 (offshore誌93年10月号)

...前略...
 なによりの悲劇は、世間はむべなるかなと思うかもしれぬ遺族たちの提訴に、実は誰よりも一番不本意を感じ、それをもたらした食い違いを歎き、恥ずかしく思っているのが、他ならぬあの遭難で海に死んだ者たち、遭難者自身であるということに違いない。

 参加する船がいかに数多くとも勝者はただ一人という、ほとんど無償に近いオーシャンレースに私達があえて出かけてゆくのは、自分という人間の実在を自らに向かって証明するためであり、そこでかち得る高揚と満足充実をいかなる肉親にも与えることなど出来はしない。

 彼を愛する者たちにできるのはただ、彼らが海で味わう充足への共感でしかないが、その限りでこそ孤独な行為者である彼らもまたけっして孤独ではないといえるのに。

・・・略・・・

 死者たちの勇気ある者としての栄光と尊厳を、一体誰が金銭をもって計量出来るのだろうか。死者はもうけっして蘇りはしない。なのに、なおまた彼らから一体何を奪おうとするのだろうか。

 我々はなにゆえに彼らを愛したかを、もう一度自らに問いなおすべきに違いない。死者をやすらかに眠らせるためにも。

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