世代間戦争3-「デンデラ」
小説「デンデラ」(佐藤友哉 新潮1月号)を読んだ。
雑誌掲載といっても187ページ・620枚の長編である。
主人公の斉藤カユはアラセブ、70才の老女である。
彼女が山に捨てられるところから話は始まる。
深沢七郎「楢山節考」を引継ぐ姥捨て文学である。
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斉藤カユの『村』には『お山参り』と称される、七十歳を越えた老人は『お山』に棄てられるという決まりごとがあった。名目は労働力のなくなった老人の口減らしだが、『村』では『お山参り』によって老人は極楽浄土に行けると教えられていた。斉藤カユもその決まりごとに従い、『お山参り』をするが、目を覚ました斉藤カユが見たものは極楽浄土ではなく、『デンデラ』。
『お山参り』によって棄てられた老婆たちは山中に集落を作り、長い間生き延びていたのだ。そして『デンデラ』の最古参であり、開祖でもある三ツ屋メイ(100)は、斉藤カユに宣言する。
「まさか私が、ただ安全な余生をすごしたいがために『デンデラ』を作ったと思ってるんじゃないだろうな。(中略)『村』を襲撃する。『村』の眼を逃れてこそこそ生きたところで、どうにもならん。私達を棄てた『村』があるかぎり、のうのうと生きる連中が『村』にいるかぎり、私達は満足できん。『村』への叛逆だ。否定して、壊して、征服してやろう!」
~~~「Blogばべのれ」による要約~~~
姥捨てとは、弱者を切り捨てることによって社会を維持しようとする行為である。
派遣切りは、弱者を切り捨てることで会社を維持しようとする行為である。
「デンデラ」では切り捨てられた弱者である老女たちが、捨てた村を襲撃しようとする。テロである。
佐藤友哉は切られた派遣のテロを予感しているのか?
佐藤友哉は1980年生まれ。28才。これまで三島由紀夫文学賞などを受賞しているというが、私は1作も読んだことはなかった。
若者がこんな姥捨て文学を書く時代なのだ。
年寄りが呆けっとパイプに繋がれて借金を膨らませるに任せていて、いい訳がない。
年寄りよ、しっかりせよ。
しっかりと死を考えよ。
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