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2008.09.05

衣のたては綻びにけり

4泊4日の駿河湾クルーズに出た。
艇は下田の33F艇”G”。
オーナーのKさんと2人旅だ。

Kさんとはもう30年以上の付合いになる。
若いと思った彼も、もう64才だ。
艇は他に例を見ないほど整理整頓が行き届き、潔癖に磨きたてられている。
金に糸目をつけない整備でいつも調子は万全だ。1年前にエンジンも新換えした。
その彼が<そろそろ艇を手放そうか>と言い出した。
マリーナ管理ではなく、自然河川の河口に漁船や作業船と混じって係船しておくのは大変なのだ。
その気苦労、肉体労働を思うと、その気持ちも判りすぎるほど判る。
私がマイボートを手放したのは62才だった。私の場合は気苦労、肉体労働に加えて経済圧迫もあった。

夏のクルーズは荷物が少なくていい。
オイルスキン(雨合羽)を持って行こうかどうか迷ったが持参した。
結果は持参して正解だった。何度か出番があった。
衣類は節約し過ぎて着替えが不足した。失敗だった。

ところで私の寝るバース(寝台)に何か白い粉が落ちている。
プラスチック製品の砕片のようだ。
度重なるので何だろう?と追求したら、どうやらオイルスキンから零れているらしい。

オイルスキンは悪天候と戦うための必須のアイテムである。これだけはしっかりしたものを用意しなければいけない。
オイルスキンはクルーザー乗りのヨロイカブトであり、表看板である。
オイルスキンの耐用年数は品物や使用状況で異なるが、私がマイボートに乗っている時は4-5年だった。
現使用品Gillはゲストとしてたまに乗るだけなので殆ど傷まず、13年使っている。まだまだ使えると喜んでいた。

ところがである。
表地も裏地も縫い目も問題ないのだが、どうやら生地を貼り合わせている接着剤が老化・劣化して、剥がれて落ちているらしい。
それが零れてキャビン内を汚しているのだ。綺麗好きのオーナーに対し、まことに申し訳ないことであった。
ヨット乗りの表看板であるオイルスキンで粗相するとは、まことに恥ずかしいことであった。

私は<衣のたては綻びにけり>と、安部貞任・源義家の故事をひいて詫びたのであった。

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前九年の役で源氏が奥州に安部一族を討った。
源義家が騎馬で逃げる安部貞任をいよいよ追い詰めた時、貞任の鎧の袖が綻んでいるのを見た。
義家が<衣のたては綻びにけり>と声をかけると、貞任は咄嗟に<年を経し糸の乱れの苦しさに>と返した。
<つけたることのめでたさに めでてゆるししやさしさよ>と大正の文部唱歌は唄っている。

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写真は雲見崎の先に見える黒富士と、清水エスパルス会館前に出来た観覧車

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