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2008.06.27

中古艇と英文鑑定報告書

従来ロシアや中国に出る中古ボートは裾物と決まっていた。
マンミョンボウ号?に積まれる中古自転車の如くである。

ところが最近、必ずしも裾物ではなくなってきた。
ちゃんとした品物をそれなりの価格で買うニーズが発生し取引が始まったのである。
それにつれてマリンサーベイの注文が出てきた。
国際的にはボートの取引にマリンサーベイは常識なのだが、日本の中古艇業界ではサーベイは定着していなかった。
しかしそれなりの価格で買うボートに、きちんとしたサーベイ・リポート(鑑定報告書)の添付を要求されるケースが出てきたのである。

そこで私の出番である。
<英文のサーベイ・リポートが出せますか?>の問合せが始まった。
<もともと英語で習ったのだから、英文リポートを出しますよ>と答える。

今日の午前中は4時起きで英文リポートを作成した。
(4時起きはスペイン-ロシアのためだけど)

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☆貼るポケット屋☆ にもそろそろ飽きてきたか。
ちょうど2ヶ月の熱中であった。

 

2008.06.25

社名変更? 貼るポケット8

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後期高齢者被保険者証のケースに何の花をプリントする?と言ったら、
妻は言下に「ボケの花」と宣うた。
なるほど。

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☆貼るポケット屋☆について抜きがたい先入観が、「プリントしたポケットを売る商売」という思い込みである。

☆貼るポケット屋☆は決してポケットを売らない。ポケットを受注するのである。
昔、着物は買うものではなく作らせるものであった。
妻は手描きの染めさせた加賀友禅の着物を持っている。
そうなのだ。☆貼るポケット屋☆のTシャツは、手描きのデザインを染めさせるTシャツなのだ。

ポケット1個750円は高いというご意見も多い。
自分のデザインを染めさせて750円だから、かえって馬鹿にされるのかもしれない。
もっと高くすべき?

☆貼るポケット屋☆ではなく、☆貼るポケット捺染工房☆と社名変更すべきかもしれない。

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琥珀磨き体験工房<アトリエ・ブルーアンバー>も、原石、磨いた琥珀、アクセサリーは売らない。頼まれても売らない。勿体なくて売れない。
琥珀磨きの楽しさを共に体験することを目的としている。

 

2008.06.24

後期高齢者と貼るポケット7

「貼るポケット」といっても何に使う物か判らない。
Tシャツに貼る気がしない。

とにかく馴染みのない品物、馴染みのないネーミングで苦戦している。
そこで皆さんにアイデアを求めているのだが、今日素晴らしい使い方のアイデアを頂いた。

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「後期高齢者被保険者証」の入れ物に良い。
バッグの中でもすぐに判るし、病院についたら安全ピンで胸に貼っておけば看護婦さんにもすぐに判る。
高齢者用に好適な製品だ。
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なるほど。
何の花をプリントしようか。

 

2008.06.23

ターシャ・チューダー

ターシャ・チューダーが亡くなった。享年93才という。

実はわが伊豆ガーデニングクラブに「日本のターシャ・チューダーを目指す」と言っている人が3人もいる。
あと20年は頑張ってもらわねばならない。

 

2008.06.21

「世界の測量-ガウスとフンボルトの物語」

「世界の測量-ガウスとフンボルトの物語」(ダニエル・ケールマン 三修社 08・5刊)を読んだ。
書評など私の柄ではないが、5月に出たばかりの本だから紹介する意味はあるだろう。

本書は2005年秋にドイツで発売されて以来、現在まで130週以上ベストセラーリストに入り、そのうち35週において第1位であったという。ドイツ国内だけで120万部を売ったという。
米国の「国際ランキング」ではダビンチ・コードやハリー・ポッターを抑えて2006年度のベストセラー第2位であった。

主人公はフンボルト(1769-1859)とガウス(1777-1855)であるが、両者ともあまりに偉大すぎて何も言いようがない。この2人を主人公に据え、殆ど奇人仕立てにした哲学的冒険小説である。

~~~訳者・瀬川裕司のあとがきから引用~~~
両者に共通するのは「知への欲望」および「世界を理解したいという願望」を抱き、世界の測量に取り組んだという点である。
本書の最大の魅力は、数学や物理、天文学でも人々の世界観を大きく変えるような<大発見>があり得た時代ならではの幸福感、大半の人々が地球の裏側の様子などまったく知らずに暮らしており、地図や事典に記録されていないことが山のように存在していた時代だからこそ可能だった<大冒険>の爽快感あるいは刺激性にあるといえるかもしれない。
~~~~~~

ダニエル・ゲールマンは1975年ミュンヘン生まれ。今年で33才。
父は演出家、母は女優、祖母はオペラ歌手という。本人はウイーン大学で哲学と文芸学を学び、カントを研究した。
2003年に発表した第3作目の長編小説は世界26ヶ国で翻訳されたというから新人ではない。

日本でいえば蜷川美花か。
それにしても小沢征爾の息子が演じる西郷隆盛は本当にあんなに偉い立場にいたのだろうか?NHKの演出家が小沢征爾にゴマをすっているのではないか?

 

貼るポケット-6 画像の受け入れ

重大な欠陥に気が付いた。
☆貼るポケット屋☆の存亡に関わる。
 
これまで「貼るポケット」にプリントするデザインはユーザーに送ってくれと言っていた。
「自分で描いたイラストや写真をメール添付で送ってくれ。」と言っていた。
考えればこれはデジタル画像を送ってくれということだ。
 
☆貼るポケット屋☆はパソコンのメールユーザーを対象にしている。
ケータイのメールユーザーに拡げることすら控えている。
随分と対象を絞った商売なのだ。
 
そのメールユーザーの中で、デジタルの画像を扱える人がどれほどいるだろうか?
どれだけの人がスケッチをスキャナーでとって送れるか?
どれだけの人がパソコン作画して送れるか?
パソコンで花の絵を描ける人がどれだけいるというのだ。
 
せめて絵筆やクレヨンで描いた絵を受取るようにしなければ、☆貼るポケット屋☆は成り立たない!
作ることばかりに入れ込んで、マーケッテイングを忘れていた!

☆貼るポケット屋☆

貼るポケット5-基本コンセプトの変更?

「貼るポケット」の基本コンセプトは<花を><Tシャツの胸に><貼る>であった。
強烈なこの想いから「貼るポケット」は生れた。

ところが皆さんから頂く反応は、わが想いを痛烈に打ち砕くものであった。
・一見して何に使うものか判らない。
・何故<花>なんだ。私は犬がいいよ。
・何故<Tシャツ>なんだ。<胸>なんだ。どこに貼ろうが付けようが勝手ではないか。
・何故<貼る>なんだ。ケータイ入れに使うよ。ぶら下げるよ。巾着にしてよ。

言われればその通りである。
ニーズは多岐にわたる。

しかしそれを取り入れていけばわが基本コンセプトを変更しなければならない。

☆貼るポケット屋☆

 

2008.06.20

私の花壇作り

わがPCCホールディングスの主要な柱が<PCCガーデンデザイン事務所>である。
どんな仕事をしているのか、1例をご覧にいれよう。

写真は某牧場のフロント花壇である。植栽を請負っている。
幅15m、奥行1.5mのボーダー花壇である。

昨日の写真でホワイトレースフラワー、アカンサスモリス、カサブランカ、ダリアなど白の高性種が優勢なので<ホワイトガーデン>を目指したように見えるが、そうではない。
たまたまワトソニア、ルピナス、チューリップ、マーガレットなどが終わり、夏のアガパンサス、サンパチエンス、ポーチュラカ、メドーセージなどがこれからなので、そうなっている。
それにしてもちょっと彩りに乏しいな。デザインミスである。
なかなか思うようには咲いてくれない。

花の8割は宿根多年草で、昨年から植えたものだ。

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2008.06.18

貼るポケット4-サンプルへの反応

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皆さんは「ラブ」というバラをご存知だろうか。
以前見かけて是非欲しいと思っていた。
花弁の内側がスカーレットの赤、そして外側が白粉(おしろい)をはたいた肌のような白なのだ。
その対照がなんとも艶めかしい。
昨日バガテル公園に行ったらその苗があり、嬉しくなって3株買ってしまった。(写真添付)

さて「貼るポケット」である。
なんとか製作のメドがたち、一部知り合いにサンプルを送り始めた。
その反応である。

~~サンプルへの反応~~~~
1.何に使う物か判らない。
2.ポケットとして販売する商品との即断。
3.花をTシャツにプリントしたい。

1.一見してTシャツの胸に貼る物と理解しない人が多い。ホームページを見れば判ってもらえると考えていたが、誰でもすぐにホームページを見るとは限らない。特に女性の場合、胸にポケットがなくてもそれほど不自由を感じていないようだ。
2.これもホームページを見る前の段階だが、花柄をプリントしたポケットを商品として販売すると受け止めた人が多い。私はクライアントの作ったデザインをポケットに仕立てるアトリエになるつもりであって、出来上がった柄ポケットを在庫して売るつもりはなかった。
3.サンプルプリントの花のきれいな仕上がりを見て、Tシャツにプリントしたいとの声が多かった。

ことほどさように当方の意図とお客様の受け取り方は違っているのであった。
「貼るポケット」という概念がこれまでないのだから、仕方がないか。

これは前途多難でありますな。

 

2008.06.17

後期高齢者医療と風説

外資の保険会社は車の保険はもっぱら若者に、医療保険はもっぱら後期高齢者に向けて売っているようだ。

これはアメリカの保険会社と厚労省の陰謀である。
ハハハ。こう書くとすぐにRSSに拾われてたちまち広まるよ。
風説の流布である。

歌人塚本邦雄の死去に際し、彼の代表歌の1つをもじって私がこの戯れ歌を作ったのは05年8月だった。
<遠つ国の保険屋がTV買い占めてこの国の老いに遠き死を売る> 黒潮丸

05年といえば小泉政治華やかなりし頃だ。この時すでに厚労省の役人も外資保険会社も今日あるを知っていた。
外資への天下りが始まっている。
ハハ。これも風説である。

~~~~~~
本歌
<はつなつのゆふべひたひを光らせて保険屋が遠き死を売りに来る> 塚本邦雄

 

2008.06.14

貼るポケット3

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昨日は9時半に雑誌の取材があるというので、朝の間に庭の整理。
雨続きでやっと手をつけたが何をしたとも見えない。山の手はクズやヘクソカヅラのつるがのたうっている。
今日は春のオープンガーデン反省会。26名の予定。
先週は花の苗フリーマーケットや市民病院植栽ボランテイアがあったし、
明日は牧場の植栽もやらねばならない。

こうしてみるとガーデン部門ばかりが忙しいな。
本業のヨット部門がこのところ寂れている。
☆貼るポケット屋☆に入れ込みすぎではないか。反省。

ホールディングスを名乗るとこういう考え方が出来るようになる。

~~貼付け方法~~~~
簡単に両面テープを添付すればいいと考えていた。
ところがこれがうまく接着しない。
最初の思い込みからポリエステル・リッチのサンプルが多かったせいかもしれない。
熱がプリント画面を傷つける危険もある。

とりあえず安全ピンを添付することにしたが、これで充分とは考えていない。
今時、針と糸で縫いつける若者はいないだろうなあ。
「低温用テープ」もあるようだが、研究課題である。
走り出したらいい知恵も集まるだろう。

~~花の絵~~~~
第1義的にはユーザーから自作のデザインを送ってもらうことを考えていた。
イラストでも写真でもロゴでもいい。自分で作ったデザインを胸に飾るのは楽しいだろう。
一方、著作権や肖像権を犯している可能性のある画像が多く送られるだろうとも考えた。
これに対してはプリント2枚以内の個人利用とすることで逃げることにした。

しかしイラストを描けない人、写真を送れない人も多い。
そういう人には花の絵のライブラリーを提供して選んでもらうことを考えた。
ネット上には「無料素材集」が溢れている。簡単に花の絵が集まるだろうと考えた。

現実はそうではなかった。
写真素材なら無料のも多いのである。しかしイラストは少ない。
イラストで無料素材をうたっていてもそれは一般のユース向けで、商用利用、ましてや絵を売るような感じのわがサイトでの利用は禁じられているのが殆どであった。
有償での利用を申し出たのだが、それでも断られた。
「趣味でやっていることだから・・・」という理由が多かったが、金額が安かったのも事実である。

なんとか花の絵を増やしていきたい。

~~ホームページ作り~~~~
これが一番簡単だった。
代金回収の方法が問題だったが、売り手にとってリスクの少ない前金または代引きとした。
注文する際のハードルは高いが、それほど大量販売したいわけではない。


添付写真<今朝のフルーツ>
ユスラウメ-西の屋敷:ここの人は食べないので断りを言って採らせてもらっている。
桑-南の屋敷:空き地で、地主は見かけたことがない。今年の桑の実は小さい。

 

2008.06.13

貼るポケット2

驚いたのなんの。いま<貼るポケット>とGoogleに入れたら、なんと1番にわがサイトが出たよ!
まだUPして2週間たたないのに。
Googleを褒めるべきか。わがサイトを褒めるべきか。

~~布の袋2~~~~
布のヌの字も知らない。袋をどう作るのかも判らない。
これが三井物産とか伊藤忠にいるのなら、若手社員がシャカリキになってリポートをまとめてくれるだろう。研究してくれるだろう。
サンプルを作るのだって資本系列の会社や工場が手ぐすねひいて待ち構えているだろう。

私は独立独歩のPCCホールディングス。1人、さ迷い歩くのだ。
やっと縫製を引き受ける会社に巡り合ったが、生地やサイズを変えて試すのも容易ではない。
とりあえず10cm×12cmの平袋を200個注文し、いろいろ試作中だが、これでいいのかどうか判らない。
とにかくモデルはないのだ。これまでに存在しないものを創造しているのだ。

現在、布地の混紡割合に若干不安がある。インクの乗りがどうも。
10×12のサイズも最適かどうか判らない。
まだ開発途上である。


~~プリントペーパー~~~~
「アイロンプリントペーパー」「アイロン転写シート」「インクジェットプリンタ用紙」、いろんな名前が付いて商品が出ている。
原理は特殊な用紙にインクジェットプリンターで画像を印刷し、アイロンの熱で布地に転写するというものである。
同じ原理で、同じようなものだろうと思ったのだが、これがいろいろだ。
やり方がそれぞれちょっとづつ違うし、仕上がりも違うし、値段も違う。難しいものだ。
4つ試していまはコクヨの用紙を使っている。

ただしこれが最適かどうかは判らない。

~~熱転写~~~~
アイロンをかけるだけのことだけど、これも難しい作業でね。

そもそも家庭用のアイロンは熱のコントロールが出来ない。何度になっているのか判らない。
それを何秒押さえるのか。アイロンを動かすのか動かさないのか。

全部溶かしてしまうこともある。

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2008.06.11

☆貼るポケット屋☆物語-1

これは☆貼るポケット☆開発のストーリーである。

きっかけは箱根の宿だった。
部屋に靴磨きが用意してあった。
CDを入れるくらいの不織布の袋で、袋に手を入れて靴を擦ると靴が光るのである。
それを見て、これだ! と閃いた。

私はかねてTシャツにポケットがないことに不便を感じていた。切符をどこに入れるのだ。買物メモをどこに入れるのだ。
中にはポケット付きのTシャツもあるが値段が高い。
おう、この袋、これを胸にぶら下げれば物入れになるではないか!

かくして☆貼るポケット☆の開発は始まったのである。
とりあえず説明はここをご覧ありたい。

どうしてそんなことに一生懸命になるの? と妻に聞かれて、答えを考えた。
「まだ世の中に無いものを作り出すのは楽しい。」と答えた。妻は「私は知りませんよ。」と言った。
そうなのだ。私1人。いま楽しくて楽しくて仕方がない。

~~不織布の袋~~~~
不織布の袋がいいと思ったのは、<洗っても形が崩れないだろう><制作が簡単だろう><安いだろう>の理由である。
問題はプリントである。うまくインクがのるかどうか。
アイロンプリントという方式があることは知っていた。(その用紙の選択、入手については別ストーリーとする。)
箱根の宿から靴磨きを何枚か頂いていた。
用紙に花の絵をプリントし、靴磨き袋に捺染した。
おう、きれいな花の絵だ。素晴らしい!

しかるにである。
袋に手を入れようとしたら入らない。袋が袋でなくなっている。
溶けてくっ付いてしまったのだ。

普通不織布はポリプロであり、その融点は150℃くらいである。
アイロンプリントの目標温度は180℃である。
だから溶けてしまった。
ふん。どうしよう。ポリエステルなら融点が230℃だ。ポリエステルの不織布を探そう。

かくしてポリエステル不織布で10cm×12cmの袋を作ってくれるところを探し始めた。
困難を極めた。
だんだんに判ってきたこと。
・ポリエステル不織布は存在しないわけではないが、極めて特殊な品物らしい。
・不織布製袋は殆ど中国の工場で、いちいち中国に問合せてから返事してくる。
・製造ロットは1万枚くらいという。私の希望はまず200枚である。
・そのうちに「ポリエステル不織布にプリント捺染は難しいよ」の情報が入った。
これが決め手となり、不織布の袋は諦めることとなった。

~~布の袋~~~~
ではどうするか。布の袋しかないではないか。
どんな布で?
どうやって袋に作る?
まったく見当もつかないところから始めて、ようやくオックスフォード生地による縫製を引き受けてくれる会社に辿り着いた。
途中では値段が2倍3倍のところ、製造ロット3000枚など、いろいろあったが、断る口実だったようにも思う。

現在生地を変えたり、袋のサイズを変えたり、試行中である。

今後耐久性テスト、Tシャツへの貼付け方法、デザインの用意など課題は山積している。
問題ないのはホームページ作りだけだ。


2008.06.07

植治の庭-田畑みなお

庭に関心を持ち始めた当初、遥か外国の洋風ガーデンに憧れ、そこでガーデンデザインの言葉を知り、ガーデンデザイナーの存在を知った。
何人かの事跡を学んだ。
そしてある時、日本のガーデンデザイナーを問われたが、知る名前は小堀遠州のみであった。

数年が過ぎ、やっと日本庭園への関心も芽生え、入門の概説書などを手に取るようになった。
そして植治=小川治兵衛の名前を知り、その作品を見たいと思った。
どんな庭を作ったのか。それはどこにあるのか。
最初の発見は伊東図書館の書棚であった。そこに植治の本が2冊あった。
「植治の庭-小川治兵衛の世界」(尼崎博正 淡交社 1990年 16000円)
「石と水の意匠-植治の造園技法」「尼崎博正 淡交社 1992年 16000円)

どちらも大判の、値段の高い本である。
私なりに熟読し、初めて「無鄰庵」「対龍山荘」「織宝苑」「碧雲荘」などの名前を知った。
名前を知っても簡単に野人の行ける場所ではない。見るのは写真のみである。
そしてその写真のどこにも<田畑みなお>の名前があった。

もう6、7年前になるか。
当時伊東市内のまちづくり関係団体をまとめようとする動きがあり、伊豆ガーデニングクラブもその中にあったが中心となっていたのが「まち懇伊東」(現在「NPOまちこん伊東」)であり、その事務局長が田畑みなお氏であった。
あれ、これがあの写真を撮った田畑さんか、と調べてみるとどうやらそうらしい。
あんな素晴らしい写真を撮る人がこんな雑用をしていていいものか、と半ば憤慨して見ていたのだが、彼は相変わらず地味にその仕事を今に続けている。

私はせめて尊敬の気持ちを表わすために、伊豆ガーデニングクラブの月例会の講師をお願いした。
演題は「庭の写真の撮り方」。
しかし当代きっての庭の写真家と、素人の庭好きの集まりと意識が合うはずがない。田畑さんも何を話したらいいのか判らない風であった。
唯一覚えているのは撮影の前の庭の掃除のことである。

さて、このほど「植治-七代目小川治兵衛」(写真・田畑みなお 監修・白幡洋三郎 京都通信社 08・3刊 2500円)が発刊された。
特筆すべきはこの表紙である。
題名に続くのは、「写真・田畑みなお」の文字である。添付写真をご覧あれ。

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純写真集ならいざ知らず、1冊の本でまず最初に写真家の名前が出されるのは異例ではないのか。
ことほどさように、この本における田畑みなおの写真の存在感が大きいのである。
彼の写真あってこそこの書が成り立っている。

中身のことはもう言うまい。
この書が2500円で買えるのは奇跡である。
ぜひご購入あれ。

私は重岡建治氏と田畑みなお氏の2人だけが伊東市在住のワールド・クラスのアーチストだと思っている。

 

2008.06.06

マイボートで地中海クルーズ

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同期の稲次哲郎君が三井物産をリタイア後42フィートのボートを購入して地中海に置き、毎年半分を船で航海し生活していることをご存知の方は多いであろう。
勿論私も航海当初からその壮挙を知り、強い関心と羨望の念をもってフォローしているものである。
しかし私は学生時代から稲次君とは面識がなかったところ、先日の50周年で初めて彼と対面し、挨拶したのであった。
彼は直ちに「船で暮らす地中海」(足立倫行 講談社 2003年刊)を送ってくれた。もう絶版となっていて私は入手出来なかった本だが、彼が無理して手配してくれたのであった。

これで私は彼の航海記を3つのメデイアで読んだことになる。
1.ヨット雑誌「KAZI」に2年にわたって連載された「グランドバンクス42で地中海クルーズ」
2.ルポライター足立氏による単行本「船で暮らす地中海」
3.朋友郡山史朗君が主宰?する小僧コムの看板コラム「稲次船長の地中海航海記」   である。
ちなみに彼のボートの艇名は「ハイドランジャー号」

それぞれについて軽い感想を述べる。
1.雑誌連載
  個人の航海者にとって、特に日本の航海者にとって地中海クルーズは夢である。
  海域の大きさ、海域の地形、海域の気象・海象はマイボートのサイズに適し、そして何よりも歴史の集積が圧倒的に航海者の心を唆る。
  そこには太平洋クルーズとは全く違うものがあるであろう。
  大いに期待して連載を読んだ。
  モータークルーザー(エンジンのみで推進する。時速約11ノット-20Km、ハイドランジャーの場合。)とセーリングクルーザー(セールとエンジンを併用する。時速約7ノット-13Km。燃料が切れても自航出来る。)とは走り方がまったく違い、航海に対する姿勢も思想も異なってくるのであるが、正直言って彼の最初の頃の航海記は私にはあまり面白くなかった。
  自分も航海者として、航海記は自分の航海のための参考書として読むのであるが、例えば最も知りたい海象の記述が少なかった。ボート乗りとヨット乗りの違いである。
  配慮すべきこと、記録すべきことにも欠落が多く、不満を感じさせた。
  当然である。彼はこの頃ビギナーだったのだ。
  しかし巡る港、泊地での出来事、多くの交遊は私にとっても夢の世界であった。

2.単行本
  足立倫行はよほど稲次船長の生き方に惚れ込んだものとみえる。地中海まで何度も足を運んでは航海を共にしている。
  サラリーマンを終えて、マイボートで世界を航海して回る男の姿、これは書き甲斐がある。これは多くの人々の心を捉えて、本も売れるだろうと思ったのだろう。
  そして彼の取材、彼の価値観で本をまとめた。
  航海部分だけでなく、稲次の生い立ち、三井物産での仕事、稲次を取り巻く人々などの記述が多い。いや、むしろそちらが主体かもしれない。
  そうだろう。足立は船を知らず、航海を知らない。ただ珍しく、面白がっているだけである。
  ただ、稲次のリタイア後の生き方に憧れてこの本を読む人にとっては、これが同じ目線なのかもしれない。
  国内でドサ回りの営業をしていた私にとっては、商社マンの仕事の実際は初めて知ることが多かった。彼が大変な努力家であることも知った。

3.SNSのコラム
  これはここ2-3年に書いたものだろう。初期の航海記とはまったく違っている。内容もあちこちで知合ったボート・オーナー仲間、泊地での人間関係などの記述が主体になる。
  船乗り仲間の交遊も、いきなり東洋からやってきた変なヤツと、毎年ラリーに参加する日本の紳士とは質が変わってくるのである。尊敬し、尊敬される人間同士の付き合いがここにはある。
  彼の観察はぐっと深まり、筆も伸びる。一番面白い。皆さん、小僧コムにどうぞ。

稲次君へ今後の希望
何時の日か、「ハイドランジャー号」を日本の港に繋いで欲しい。
イギリスのイエローブックの庭を巡るのもいいが、伊豆でオープンガーデンをやるのもいいものだ。

~~~~~~
写真の説明
自分の船を外から写真に撮ってもらうことは滅多にない。この写真はトルコのオーナー仲間が自家用機を操縦して「ハイドランジャー号」を撮影したものである。


 

2008.06.02

脳のキャパシテイ

近年とみに脳のキャパシテイが縮んできていると思う。
テレビを殆ど見ないのも、何やかんや理屈はつけるが要するに吸収するキャパシテイがないのだ。新しいことを受け付けられないのだ。

毎月いろいろと雑誌が届く。
実はこれが憂鬱の種だ。読みきれないのである。ああ、これは読もう、と思っていても読まないうちに次の号が届く。
だから新しい雑誌の顔を見ると憂鬱になる。

ここ数年毎月の如水会報と一緒に何やら大判の印刷物が入っている。名前は忘れた。
何かいいことが書いてあるようなのだが、さし当たって入用でないのでこれ以上脳に負担をかけないために読まない。
事務局に断りを言おうと思ったり、それでは角が立つと思ったり、一つの悩みだ。

それがこの5月号に付いてきたのはちょっと体裁が変わって、名前も「Merc」と変わって、副題に<ヨーロッパ-没落と創造の大陸>とあったのに目をとられた。
ヨーロッパの没落か。昔、こんなの嬉しがって読んだな。

開いて山内進教授の「新ストア主義の倫理とヨーロッパ主権国家秩序」を読んで面白かった。
これも古いタグが付いていたから頭が受け入れたので、今風のタグなら読む前に脳が弾いていただろう。


 

わがホールディングス2

わが稼業への「ホールディングス」命名は多少インパクトがあったようで、幾つかのメールを頂いた。
有難いことである。

さて私は「ホールディングス」の使い勝手の良さに気付き、<世の中「ホールディングス」だらけになるぞ。>と予言したのであったが、まさにそのようである。
そこらじゅうにホールディングスが転がっている。

そんななかでライブドア・ホールディングスが社名変更を発表した。
今月25日の株主総会で、社名を「LDH」に変更するという。
どうやら「ホールディングス」の氾濫を嫌ったためのようだ。

さすがライブドアである。感度の良さにまだ往時の片鱗を感じさせる。
いまライブドアの株は幾らだ?


 

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