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2007.11.07

「マティスを追いかけて」

071107chasingmatisse

「マティスを追いかけて」(ジェームス・モーガン)を読んだ。
この厚い本を、2ヶ月くらいかけて、ゆっくりと、楽しみながら読んだ。
自分がいささかでもマティス・フリークであることを喜びながら読んだ。

マティスに魅せられた著者は、50歳を過ぎて、ニューヨークの雑誌編集者の地位を捨てて、妻と2人で画家の人生を見る旅に出た。2002年の秋のことだ。
マティスの生れた土地、育ったところ、画を描いた場所、アトリエ、それらをずっと辿る。ゆっくりと、時間をかけて、約1年半の旅である。

その資金は自宅を売り、妻のベス(彼女も作家)が<Chasing Matisse>というサイトを作って日々の記録を綴り、そこに広告を載せて賄った。
このサイトは今も閲覧出来る。

まことに楽しい本だ。読書の至福を感じた。
<もしあなたが人生のなかばを過ぎて何か新しい生活をしたいと思うなら、この本を取りなさい。勇気と希望がここにある。その上、光と色彩のマティスと旅もできる。―伊集院静>

~~~~~~
しかしである。
なかに<コリウール>という土地が出てくる。
フランスの南西端、ピレネーの麓、スペインに接するあたりの漁師町である。
今は素晴らしい観光地になっているらしい。
マチィスがアトリエを構え、モーガンもすっかり気に入ってここにアパートを借りて1年も暮らすことになる。

その<コリウール>の地名になんとない記憶があった。
それは堀田善衛の「スペイン断章」の中にあった。
引用し語ればキリはないのだが、要するにスペイン内戦において共和国軍が最後にバルセローナでフランコ軍に破れ(1938年)、40万人とも言われる敗残兵が辿りついたのが<コリウール>だったのだ。彼らはそこで多く凍死し、餓死した。しかもなお亡命政府を作り、40年後に帰国を果たす。
マチィスが住んだのは1905年である。しかし2003年のモーガンがコリウールにあってスペイン内戦の痛みをまったく感じないのは許せない。

ここに到って本書の価値は私において半減したのであった。

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