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2007.03.23

馬とヨットと花と

「アラビアンホースに乗って」(蓮見明美著、洋泉社、04/6刊)という本を読んだ。
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60才を目前にした、それまで馬に触ったことも乗ったこともない男がたまたま米国の長距離耐久乗馬レースをTVで見て、「わが人生で為すべきことはこれだ!」と一念発起し、一から乗馬の訓練を始め、あらゆる艱難を克服してその翌年に米国で最も過酷なエンデュランス・ライドと言われる「テヴィス・カップ・ライド」を完走した物語である。ちなみにこの時の完走率は49%だったという。

耐久馬レースはエンデュランス・ライドと呼ばれ、スピードよりも、人も馬も障害なく完走することを第一義とする。
「テヴィス・カップ・ライド」の正式名称は「ウエスタン・ステイツ・ワンハンドレッド・マイルズ・ワンデイ・ライド」であり、その名の通りシエラネバダ山中の100マイルを24時間以内に走り切らねばならない。人か馬かヘリコプターしか近寄れない峻険な山道を頑健で俊敏なアラビアンホースに乗って文字通り踏破するのだ。標高1500-2700メーターの土地を上り合計で5000メートル、下り合計で7000メートルを走る。夜は漆黒の闇である。
詳細はここをご覧あれ。アラビアン・ホース・ランチ

スタート地点に立つことすら難しいと言われるこのライドに挑戦し、見事完走した男は蓮見清一という。出版社宝島社の社長である。
そしてライドそのもの以外はすべて行を共にし、このリポートをまとめたのは蓮見清一の妻蓮見明美である。

実はこの本、某氏から恵送を受けたのだが私が読むより先に妻が読み、私が読んだらすぐに自分の友達に鳴り物入りで貸してしまった。それほど面白かったのだ。
おかげで私が感想を書こうにも原典が手元にない。

私は読後の感想を書くにあたり、この物語を何に比すべきかを考えた。
私が知るのはヨットの世界である。「テヴィス・カップ」に比すべきヨットレースがあるだろうか?
この耐久レースは競馬場のパドックを走るのでも馬場馬術でもない。原野を走り抜ける。
となればインショア・レースではあり得ない。オフショア・レースである。
国内のレースでオフショア・レースは何か?鳥羽パールの名が上がるかもしれないが、これは沿岸コースで本格的にオフショアとは言い難い。
八丈とか小笠原、沖縄レースということになろうが、実はどのレースも参加艇不足でこのところ成立していない。
それと、実施海域の条件がそれほど厳しいというものではない。テヴィス・カップのコースは厳しさを求めて設定されている。
勿論ヨットレースは気象条件によってどれほどにも厳しくなるが、コースそのものが厳しい海域とは言えない。

国外に眼を転じて、どんなレースがあるか。
アメリカズ・カップはインショア・レースである。
アラウンド・ザ・ワールドの各レースはちょっと比較にならない別物だろう。
アドミラルズのファストネット、トランスパックのアラウンド・ジ・アイランズなどの名が浮かぶが、これらも<厳しい海域>ではない。79年のファストネットの大事故は記憶に生々しいが海域のせいとは言えない。

そうだ、シドニー・ホバートだ!
どんな解説にも<荒れるシドニ・ホバートレース><咆える40度線>の形容詞が先に立つ。
シドニーを出てタスマニアのホバートに至る630マイルのコースである。毎年クリスマスの日にスタートし、大晦日前にゴールする。
このレースの厳しさはヨット乗りの知るところだ。多くの場合完走率は50%という。
オーストラリア人はこのレースに生命を燃やす。

テヴィス・カップへの挑戦は、シドニー・ホバートへの挑戦に比すべきではないか?
シドニー・ホバートレースに挑んだ日本人はいるのか?
私の頭に<武田陽信>の名が浮かんだ。微かな記憶である。たしか武田陽信という男が参戦したはずだ。
やっと日本セーリング連盟の「JYAとNORCの歩み」のページに、ただ1行の記述を見付けた。
「1969年:シドニーホバートレースに武田陽信氏の<バーゴ>が参加」
残念ながらこれ以上調べる手がかりがない。

武田陽信とは何者か?
勅使河原霞の夫である。
―続く―

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