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2004.09.12

風立ちぬ


涼風が立ってやっと庭の手入れをする気分になってきた。
といっても庭に出るにはまだまだ手っ甲脚半の重装備である。長袖長ズボン作業靴皮手袋帽子首にタオル頭に防虫ネット。
これだけの装備が必要だからちょっとだけ草取り、とはいかないのである。
取り掛かれば3時間くらいやらないと身仕度に引き合わない。それでヘソまでぐじゅぐじゅになって温泉を浴びて昼寝となる。つまり1日仕事となる。
カンカン照りはいや、湿度の高い日もやりたくない、雨の日の仕事はみっともない。難しいのである。
(早朝は読書タイムにしているので庭仕事はしない。)

こちらが庭に眼が向けばみんなもそうらしい。
オープンガーデンの問合わせやいきなり訪問が増えてきた。
まだとてもお客様を迎える状態でないといって断るのだが、来てしまった人は仕方がない。
どうぞご自由にと言うが、蚊に食われてうっしっしだ。


「風立ちぬ」で堀辰雄を思うか松田聖子を思うかで人種が分かれる。
われらは前者の世代である。
~~~~~~
 それらの夏の日々、一面に薄(すすき)の生い茂った草原の中で、お前が立ったまま熱心に絵を描いていると、私はいつもその傍らの一本の白樺の木蔭に身を横たえていたものだった。そうして夕方になって、お前が仕事をすませて私のそばに来ると、それからしばらく私達は肩に手をかけ合ったまま、遥か彼方の、縁だけ茜色(あかねいろ)を帯びた入道雲のむくむくした塊りに覆われている地平線の方を眺めやっていたものだった。ようやく暮れようとしかけているその地平線から、反対に何物かが生れて来つつあるかのように……

 そんな日の或る午後、(それはもう秋近い日だった)私達はお前の描きかけの絵を画架に立てかけたまま、その白樺の木蔭に寝そべって果物を齧(か)じっていた。砂のような雲が空をさらさらと流れていた。そのとき不意に、何処からともなく風が立った。私達の頭の上では、木の葉の間からちらっと覗いている藍色(あいいろ)が伸びたり縮んだりした。それと殆んど同時に、草むらの中に何かがばったりと倒れる物音を私達は耳にした。それは私達がそこに置きっぱなしにしてあった絵が、画架と共に、倒れた音らしかった。すぐ立ち上って行こうとするお前を、私は、いまの一瞬の何物をも失うまいとするかのように無理に引き留めて、私のそばから離さないでいた。お前は私のするがままにさせていた。

風立ちぬ、いざ生きめやも。

~~~~~~

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