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2004.07.07

レインメーカー

私は10年に1度くらい短歌の本を購う。
今回「短歌」(角川書店)7月号を購入したのも何年ぶりかのことであった。
特別企画「101人歌人が厳選する現代秀歌101首」をみたかったからである。

集中、この歌を知った。

雨師(うし)として祀り捨てなむみはふりに氷雨は過ぎて昭和終んぬ 山中智恵子

選んだ沢口芙美は次のように書く。
~~~~~~
もともと王とは雨師(レインメーカー)であった。呪術によって雨をもたらす力を持つ者が、古代では即ち王であった。雨を降らす力がある間彼は王であるが、その力が失せた時王は殺され、新たに呪力を持つ者が王となった。
呪術に基づく古代王権の名残を天皇制は引き摺っている。少なくとも昭和天皇は宗教的な力を強調された時期があった。そうであれば、その天皇の死は雨師として祀り捨ててしまおう。雨師の最後を飾るように氷雨が降り、昭和は終わった。
一首はこのような意味であろう。

天皇が現人神として存在した時期に青春時代の重なる作者にとって、天皇の存在は重くのしかかっていたに違いない。そのような時期に生きた自分の人生をも込めて、「祀り捨てなむ」と言い切ったのだろう。

昭和が終わった時、多くの昭和挽歌がうたわれたが、天皇制の深みにまで降りてこう歌った人は他にいなかった。私はこの歌を読んだ時心が震えた。
一連に次歌がある。
そのよはひ冷泉を超え賢王と過ぎたまふ、そよ草生(ひと)を殺しき
~~~~~~

私も心が震えた。

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